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「どうも御苦労さま、暑いところを」
「誰かと思つたら――」
練吉はそこで房一について廻つたばかりでなく、角屋までもくつついて来た。そして、同じやうについて来かけた徳次を見ると、
小谷は酔つて来たのだらう、何度も同じ手真似をして見せた。
正文はその傍に近づきながら、他の用事で来たついでのやうに云つた。
「あ、お帰んなさい」
房一は苦笑した。
「何しに来た?」
「や、先日はどうも――」
「うん、うん。あ、さうだ、顔を一寸洗はなくちや」
心持照れ臭さげにしながらも、盛子は快活などこか家庭的な確しつかりさといつた風なものを現して、この一日造りの漁師達を眺めた。
「どういふことでせうね、まあ!」
「お髯がなくなりましたわ」